警察がインターネットでの誹謗中傷に対して動かない3つの理由
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警察がインターネットでの誹謗中傷に対して動かない3つの理由

警察がインターネットでの誹謗中傷に対して動かない3つの理由

近年、インターネット上における誹謗中傷の件数が増加傾向にあり、被害者に深刻な精神的・身体的苦痛を与えるケースも少なくありません。
しかし、被害を訴えても警察による迅速な対応が得られず、適切な措置が講じられないと感じる方も多いのが現状です。

本記事では、警察が誹謗中傷事案に対してすぐに動かないとされる主な理由と、対応を引き出すために考えられる具体的な手段について解説いたします。

本記事は2025年7月25日に最新情報にアップデートしました。


警察が動かない理由

以下に挙げるのは一般的な傾向であり、具体的な対応は個別の状況によって異なります。

1:刑法上の難しさ

インターネットは国際的なネットワークであり、投稿者が海外に居住している、あるいは匿名性が高いケースも多く見られます。
こうした状況では、捜査や法的対応における手続きや権限の面で制約が生じることがあります。

2:証拠不足

警察は犯罪を調査する際に証拠を集める必要があります。
しかし、インターネット上の誹謗中傷は投稿者が隠れていることが多く、特定することや証拠を押さえることが難しい場合があります。

3:優先順位

警察は限られた人員と時間の中で、緊急性に応じて捜査の優先順位を決定しています。
そのため、誹謗中傷事案において被害の程度が軽微と判断された場合、他の重大事件への対応が優先されることがあります。

重要犯罪の認知件数の推移

令和6年における重要犯罪の認知件数は14,614件で、前年比18.1%の増加が報告されています。

インターネット上の誹謗中傷で警察が動いた事例

以下は、実際に警察が誹謗中傷事案に対して対応を行った報道事例です。

“ネットで実名挙げ女性を中傷 元同僚の京都の男逮捕 船橋東署
船橋東署は23日、名誉毀損(きそん)の疑いで、京都市中京区、会社員の男(42)を逮捕した。”

引用:千葉テレビ放送

“68歳男性、ネット掲示板に「風説の流布」で書類送検…被害受けた会社は損害賠償請求を予定
同社サイトによると、「YAHOO!JAPANファイナンス株式掲示板」に投稿された風説の流布について信用毀損行為と判断し、警視庁神田警察署に告訴。平行して発信者情報開示手続を進め、投稿者を東京都杉並区在住の68歳男性と特定した。”

引用:スポーツ報知

インターネット上の誹謗中傷で多い罪「名誉毀損」について

名誉毀損(めいよきそん)とは、公然と事実を摘示することで他人の名誉を傷つけ、その社会的評価を低下させる行為を指します。
刑事事件としての「名誉毀損罪」だけでなく、民事上の不法行為として扱われる場合もあります。

名指しされていなくても、文脈や表現から名誉を損なった人物が特定できる場合には、名誉毀損と認定される可能性があります。
名誉毀損には、民事上の名誉毀損と刑事上の名誉毀損罪の二つがあり、いずれも人格を否定する点で共通しています。

これに類似する罪として「信用毀損(しんようきそん)」があります。
これは虚偽の風説を流布したり、偽計を用いたりすることで、他人の信用を損なう行為に対して適用されます。

名誉毀損罪と異なり、信用毀損罪は発信内容が虚偽であることが前提です。
名誉毀損罪は、示された事実が真実であっても、名誉を毀損する表現であれば処罰の対象となり得ます。

一方の信用毀損罪は、虚偽である場合に限定して成立します。

参考:名誉毀損罪の判例とは? 侮辱罪との違いや類似する罪を解説

誹謗中傷事件とは? 実際の事例・法制度・統計データまとめ


警察に動いてもらうための解決策

警察に対応してもらうには、以下の点を踏まえた準備が重要です。

経路をたどる

経路をたどる

誹謗中傷が複数のサイトやSNSに拡散している場合は、その経路を整理し、起点となった投稿や媒体を明示すると、警察への説明材料として有効です。

証拠の収集

証拠の収集

投稿内容や投稿者情報、投稿日時、URLなどを記録し、可能な限り証拠を確保しておくことが求められます。

なお、ネット上の情報は短期間で改変・削除されるおそれがあるため、早期の対応が肝心です。
以下は、証拠の収集に役立ついくつかの方法です。

1:スクリーンショットの取得
該当コンテンツの画面を撮影し、URLや投稿者情報が含まれるようにスクリーンショットを取得しておくと効果的です。

2:ページの保存
スクリーンショットに加えて、ブラウザの「ページを保存」機能を使い、該当ページ全体のデータも確保しておきましょう。

3:投稿内容の保存
中傷発言や投稿コメントなどの具体的な内容は、テキスト形式でも保存しておくと有効です。
あわせて投稿者情報やタイムスタンプの記録も忘れずに行いましょう。

4:ネットワークログの取得
プロバイダやSNSプラットフォームが保有する通信ログやアクセス記録は、捜査上の重要な資料となることがあります。
これらは一般ユーザーが直接取得できないため、発信者情報開示請求などの法的手続きが必要です。
発信者情報開示請求とは?改正プロバイダ責任制限法をわかりやすく解説
5:目撃者(閲覧者)の情報収集
他の閲覧者の証言やスクリーンショットも、有力な補足証拠となる場合があります。
コメント欄や共有履歴をもとに、目撃者に心当たりがあれば接触を検討してみてください。

警察への相談時には、状況を客観的かつ具体的に説明できるよう、証拠や経緯を整理しておくことが重要です。
なお、対応が難しいケースもあるため、並行して他の対処手段の検討も視野に入れておくとよいでしょう。

警察への被害相談先

緊急性の高いケース(例:爆破予告など)は、速やかに110番通報を行ってください。
一方で、緊急性の低い一般相談については、警察相談専用電話「#9110」が利用できます。
通話料金はかかりますが、相談自体は無料で対応しています。


その他の誹謗中傷対処方法

警察以外にも、誹謗中傷への対処方法はいくつか存在します。以下に代表的な手段をご紹介します。

1:オンラインプラットフォームへの通報

誹謗中傷が特定のSNSや検索エンジンで行われている場合は、各プラットフォームの通報窓口を利用することが基本的な対処手段となります。
多くの事業者は、利用規約に違反する投稿に対し、削除やアカウント停止等の対応を取っています。
以下に、主なプラットフォームの利用規約ページを掲載します。通報を行う際の参考にしてください。

2:弁護士へ相談

法的な対処を検討する場合は、弁護士への相談が有効です。
ただし、インターネット上の誹謗中傷には専門性が求められるため、ネットトラブルに詳しい弁護士を選ぶことが重要です。

無料の法律相談窓口
公的な法律相談支援として、法務省所管の「日本司法支援センター(通称:法テラス)」が利用できます。
なお、法テラスでは直接法律相談を受け付けているわけではなく、弁護士の紹介や費用支援、関連情報の提供などを行っています。

▼法テラス 公式ホームページ
https://www.houterasu.or.jp/

3:専門業者へ相談

専門業者に相談することで、インターネット上の誹謗中傷や風評被害に対して、状況に応じた実務的なアドバイスや対処支援を受けることが可能です。

当誹謗中傷対策センターでも、インターネット上の誹謗中傷や風評被害に特化した対策を行っており、2020年12月時点で累計53,187件の対応実績があります。
当誹謗中傷対策センターの解決事例はこちら

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よくあるご質問

Q
インターネット上の誹謗中傷に警察は本当に対応してくれないのですか?
A
必ずしも「対応しない」というわけではありません。ただし、証拠が不十分だったり、投稿者が匿名・海外在住である場合など、捜査が難航する要因が多いため、すぐに動いてもらえないケースがあるのが実情です。
Q
警察に相談する前にやっておくべき準備はありますか?
A
はい。投稿のスクリーンショット、URL、投稿日時、投稿者名などの記録は非常に重要です。可能な限り多くの証拠を整理してから相談することで、対応されやすくなります。
Q
誹謗中傷に関して、警察以外に相談できる機関はありますか?
A
法務省が所管する「法テラス」や、ネットトラブルに詳しい弁護士、誹謗中傷対策を専門とする民間事業者などが相談先として挙げられます。状況に応じて複数の窓口を活用するのが効果的です。

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