FC2ブログは、米国法人 FC2, Inc. が運営するブログサービスで、匿名性が高く、誰でも比較的容易に情報発信ができる点が特徴です。
その一方で、第三者に対する誹謗中傷や名誉を毀損する記事が公開され、削除対応が問題となった事例も実際に確認されています。
公に確認できる事例として、2013年には、FC2ブログ上で特定の人物に対する誹謗中傷行為が継続的に行われたケースが報じられています。
参考:米国法人のブログサービス「FC2」への発信者情報開示請求はいかにして実現したか 2013年02月26日
この事案では、被害者側からの削除要請に対し、FC2は当初記事削除に応じていたものの、途中から「権利侵害が明らかでない」として削除対応を行わなくなったとされています。
結果として、誹謗中傷記事はインターネット上に残り続け、被害者はやむなく日本国内の裁判所に申立てを行い、FC2に対して発信者情報の開示を命じる仮処分決定が下される事態にまで発展しました。
この事例から分かる重要なポイントは、
FC2ブログに掲載された悪質な記事は、「削除依頼をすれば必ず消える」とは限らないという点です。
削除対応の可否は、FC2側が「利用規約やガイドラインに照らして権利侵害が明確かどうか」をどう判断するかに大きく左右されます。
つまり、FC2ブログの誹謗中傷記事を削除するためには、単に「被害を受けている」と訴えるだけでなく、
FC2が定める利用規約・禁止事項に違反していることを、客観的かつ具体的に示したうえで削除を求めることが重要になります。
本記事では、FC2ブログの運営規約をもとに、どのような記事が削除対象になり得るのか、そして実際に削除を求める場合にどのような手順を踏むべきかを、順を追って解説していきます。
FC2ブログに掲載された誹謗中傷・悪質な記事であっても、必ず削除されるとは限りません。
一方で、FC2の利用規約や基本ガイドラインに明確に違反している場合は、削除される可能性があります。
FC2ブログの削除可否は、FC2側が「その記事が、権利侵害や禁止事項に該当すると判断できるかどうか」を基準に、独自に判断する仕組みとなっています。
FC2利用規約・基本ガイドラインを見ると、以下のような内容は明確に禁止されています。
このように、規約上の禁止事項に該当する記事であることを、具体的に示せる場合には、FC2が記事の削除や非公開措置を行う可能性があります。
一方で、次のような場合は削除対応が難しくなる傾向があります。
前述の公開事例でも、当初は削除されていた記事が、途中から「権利侵害が明らかでない」として削除されなくなった経緯が確認されています。
これは、FC2が「削除するかどうか」を常に再評価し、最終的な判断権を運営側が持っていることを示しています。
FC2ブログの削除対応において特に注意すべき点は、以下の3つです。
規約上、削除や抹消の判断はFC2に委ねられており、必ず対応してもらえる保証はありません。
削除を求めるには、どの規約に、どのように違反しているのかを具体的に示す必要があります。
一度削除された、または対応されたとしても、同様の投稿が繰り返される、あるいは判断が覆るケースもあります。
このように、FC2ブログの記事削除は感情論ではなく、規約と事実関係に基づいた対応が不可欠です。
FC2ブログの記事が削除対象になるかどうかは、「誰がどのように傷ついたか」ではなく、「利用規約・基本ガイドラインに違反しているか」を基準に判断されます。
ここでは、FC2利用規約および基本ガイドラインの内容をもとに、削除対象になり得る代表的な判断基準を整理します。
FC2の基本ガイドラインでは、「他の利用者または第三者の信用もしくは名誉を侵害する行為」が明確に禁止されています。
具体的には、次のような記事は削除対象となる可能性があります。
重要なのは、「本当かどうか」ではなく、 「第三者の名誉・信用を侵害する表現かどうか」という観点で判断される点です。
FC2利用規約では、他人のプライバシー権や肖像権、その他一切の権利を侵害する行為も禁止されています。
削除対象になり得る例としては、以下が挙げられます。
たとえ記事全体が誹謗中傷を目的としていなくても、
一部にプライバシー侵害が含まれていれば、削除や非公開措置の対象となる可能性があります。
FC2の基本ガイドラインでは、
事実がないにも関わらず、個人や企業を騙ったり、誤認を招く行為も禁止されています。
具体的には、
といった内容は、閲覧者に誤解を与え、権利侵害につながるおそれがあるとして、削除対象になる可能性があります。
FC2では、差別や誹謗中傷を助長する行為、社会道徳・公序良俗に反する表現も禁止されています。
例えば、
こうした記事は、情報提供の範囲を逸脱していると判断され、削除や凍結の対象となることがあります。
最後に重要な点として、FC2利用規約では、禁止事項への抵触の有無はFC2の判断によると明記されています。
そのため、
といったケースが起こり得ます。
だからこそ、削除を求める際には、 「どの表現が、どの規約の、どの禁止事項に該当するのか」を整理したうえで、具体的・客観的に指摘することが重要になります。
FC2ブログの悪質記事を削除してもらうためには、感情的に抗議するのではなく、規約違反を根拠に「正式な削除依頼」を行いましょう。
ここでは、一般的な削除依頼の流れをステップごとに解説します。
削除依頼を行う前に、以下の情報を整理しておきましょう。
これらが不十分な場合、削除対応が見送られる可能性が高くなります。
特に重要なのは、「どの文章が問題なのか」を明確に特定することです。
記事全体を問題視するよりも、具体的な表現単位で指摘する方が、FC2側の判断がしやすくなります。
FC2ブログに掲載された誹謗中傷やプライバシー侵害などの悪質な記事については、FC2が用意している「不適切サイト報告・異議申し立てフォーム」から削除依頼を行うことができます。
このフォームは、実際に権利を侵害された当事者本人からの申し立てを前提としており、第三者による通報や代理での申請は原則受け付けられていません。
そのため、入力内容には正確性と具体性が求められます。
FC2が設けている削除依頼用の窓口は、以下のフォームです。
※誹謗中傷、名誉毀損、プライバシー侵害などは本フォームの対象ですが、著作権侵害については別フォームが用意されているため注意が必要です。
フォーム送信前に、以下の点を必ず理解しておく必要があります。
まず、このフォームはFC2ユーザーによる迷惑行為を通報するための窓口であり、他社サービスや外部サイトの問題には対応していません。
また、申立人の氏名・住所・メールアドレスなどの必須項目を正確に入力しなければ、削除対応は行われません。
虚偽や不十分な情報がある場合、内容の審査以前に対応を見送られる可能性があります。
さらに重要なのが、削除を依頼する理由や該当箇所の内容は、原則としてブログ管理人(投稿者)に転送されるという点です。
匿名での完全な申し立ては難しく、氏名や組織名の開示を許諾しない場合、削除に応じられないケースがあると明記されています。
なお、このフォームは原則としてFC2からの個別返信はありません。
送信後は、利用規約に基づいて削除・警告・その他対応が行われるかどうかが判断されます。
フォームでは、以下のような情報の入力が求められます。
次に、「サイト管理人であるユーザーへ、お名前の公開を許諾しますか」という項目があります。
![]()
ここでは、
のいずれかを選択しますが、許諾しない場合は削除に応じられない可能性がある点に注意が必要です。
続いて、「通報項目」を選択します。
![]()
誹謗中傷や風評被害の場合は、「誹謗中傷、名誉棄損、プライバシーの侵害」を選択するのが一般的です。
その後の入力欄では、以下の点をできるだけ具体的に記載します。

特に、「どの文章が、どのような権利を侵害しているのか」が特定できない場合、FC2側で判断ができず、対応されない可能性があります。
感情的な表現は避け、事実関係と権利侵害の内容を簡潔かつ客観的に説明することが重要です。
削除依頼を送信した後は、FC2側で内容の確認・判断が行われます。
ただし、以下の点には注意が必要です。
また、前述の公開事例でも見られたように、一度削除対応が行われた後でも、再投稿や判断変更が起こる可能性があります。
そのため、
といった対応も推奨します。
FC2ブログの削除依頼において、次のようなケースは失敗しやすい傾向があります。
FC2は「削除義務」を負っていないため、削除判断に必要な材料が揃っていない場合、対応されない可能性が高い点は理解しておく必要があります。
FC2ブログに対して削除依頼を行っても、「削除されない」「判断理由が示されない」といったケースは珍しくありません。
これは、FC2利用規約上、削除や対応の最終判断が運営側の裁量に委ねられているためです。
ここでは、削除依頼が通らなかった場合に取り得る、現実的な対処法を整理します。
まず検討すべきなのは、削除依頼内容そのものの見直しです。
削除されない理由の多くは、以下のような点にあります。
再申請する際は、
といった点を補強することで、削除判断につながる可能性があります。
削除依頼が通らない場合でも、同一人物による類似内容の投稿が繰り返されているかどうかは重要な判断材料になります。
過去の公開事例でも、
といった事情が、次の法的手続きへ進む要因となっています。
もし、
がほぼ同一の記事が複数確認できる場合は、悪質性が高いケースとして整理できる可能性があります。
削除依頼が繰り返し通らない場合、法的手段を視野に入れるという選択肢も現実的になります。
実際に確認されている事例では、日本国内の裁判所に申立てを行い、米国法人であるFC2に対して発信者情報の開示を命じる仮処分決定が出されたケースもあります。
ただし、法的対応には、
といったハードルがあるため、「本当に法的対応が適切かどうか」の見極めが必要です。
削除依頼が通らない状況が続くと、
といった行動を取りたくなる方も少なくありません。
しかし、これらは
につながるリスクがあります。
削除が難航している場合は、「個人での対応に限界がある段階に来ている」と判断し、専門的な知見をもとに対応方針を整理することも検討しましょう。
FC2ブログの誹謗中傷・悪質記事は、軽度なケースであれば個人対応で解決することもあります。
しかし、状況によっては個人での対応に明確な限界が生じるケースも少なくありません。
ここでは、専門業者や第三者への相談を検討すべき代表的なケースを整理します。
FC2へ複数回削除依頼を行っても、
といった状況が続く場合、個人対応でできる範囲はほぼ出尽くしていると考えられます。
次のようなケースでは、早期に専門的な対応を検討すべきです。
このような状況では、削除対応だけでなく、二次被害・三次被害を防ぐ視点が必要になります。
個人に対する誹謗中傷だけでなく、
といった場合は、「放置コスト」が非常に大きい状態です。
この段階では、「いずれ削除されるかもしれない」と様子を見るよりも、戦略的に対応方針を決める必要があります。
発信者情報開示請求や法的措置を検討する場合、
など、専門的な判断が不可欠です。
誤った進め方をすると、
といったリスクもあるため、初期段階から専門家の関与を検討する価値があります。
見落とされがちですが、誹謗中傷への対応は、精神的・時間的な負担が非常に大きい問題です。
こうした状態が続いている場合、「一人で抱え込まない」という判断を推奨します。
FC2ブログに掲載された悪質な記事は、内容や状況によっては削除できる可能性があります。
ただし、削除の可否は「事実かどうか」ではなく、FC2の利用規約や関連法令に照らして判断される点が重要です。
誹謗中傷や名誉毀損に該当しそうな記事であっても、通報内容が不十分だったり、規約違反の指摘が曖昧だったりすると、削除対応が見送られるケースも少なくありません。
また、削除依頼が通らない場合に感情的な対応や過度な接触を行うと、状況が悪化し、記事の拡散や二次被害につながるリスクもあります。
個人でできる対応には限界があり、時間が経つほど検索結果に定着してしまう点も無視できません。
もし現在、
「削除依頼を出したが反応がない」
「明らかに悪質だが、規約違反として判断されない」
「実名や会社名が記載され、取引先や顧客への影響が出始めている」
といった状況であれば、早めに専門家へ相談することが、結果的に被害を最小限に抑える近道となります。
当誹謗中傷対策センターでは、FC2ブログを含む各種ブログサービス・掲示板・口コミサイトにおける誹謗中傷や風評被害について、削除可能性の事前診断や、削除が難しい場合の検索結果対策などを総合的にサポートしています。
「この内容は削除できるのか分からない」「まずは現状だけ確認したい」といった段階でも問題ありません。
被害が拡大する前に、ぜひ一度ご相談ください。
状況に応じた最適な対策をご提案いたします。
