SNSや掲示板などで誰もが情報を発信できる時代、企業や個人を標的にした誹謗中傷は深刻なリスクとなっています。
特に企業にとっては、信用毀損による業績への影響や社員の士気低下など、経営にも関わる重大な問題です。
万が一、自社や自分に対する中傷を受けた場合に備え、どのような法的枠組みがあるのか、そして取るべき対応について知っておくことが重要です。
本記事では、誹謗中傷に関する法律の概要と対策について解説します。
本記事は2025年6月23日に最新情報にアップデートしました。
「誹謗中傷」とは、個人や企業に対して名誉を傷つけるような発言を指し、単なる悪口や嫌がらせにとどまらず、名誉毀損や侮辱などの法的問題を含む可能性があります。
たとえば、従業員や経営者の人格を攻撃する発言や、企業の評判を貶めるような虚偽の情報拡散なども該当します。
よく似た言葉に「批判」がありますが、批判は事実に基づいた意見や改善提案である一方、誹謗中傷は根拠のない攻撃や感情的な否定を伴う点で明確に区別されます。
誹謗中傷に該当する発言には、他人の名誉や信用を毀損する具体的な内容や、社会的評価を下げるような表現が含まれます。以下は代表的な例です。
これらの表現を不特定多数が閲覧可能な場に投稿することで、名誉毀損や脅迫などの法的責任が生じる可能性があります。
特に企業経営においては、風評被害による信用低下や業績への悪影響に発展するリスクもあるため注意が必要です。
多くの利用者がいるネット上では様々な所で誹謗中傷が起こってしまいます。
ここでは誹謗中傷が起こりやすいサービスについて紹介します。
匿名性や投稿の即時性が高いため、企業や個人への無責任な書き込みが起こりやすく、風評被害の火種となるケースもあります。
広く拡散される可能性が高いため、企業リスクとしても警戒が必要です。
主観的な意見が中心となるブログでは、事実誤認や私的な感情に基づいた記述が見られることがあり、名誉毀損に発展する例もあります。
特に法人・個人名を挙げての中傷には注意が必要です。
匿名投稿が中心の掲示板では、根拠のない噂や誤った情報が広まりやすく、企業名や個人名が特定されて書かれることも珍しくありません。
監視が行き届きにくく、放置されがちなのも特徴です。
動画の内容そのものや、配信中のコメント欄での中傷発言が問題になるケースが増えています。
発言が記録に残り続けるため、企業のブランド毀損につながるリスクもあります。
それでは、これらの誹謗中傷が書き込まれた際にはどのような法律が関わってくるのでしょうか? ここでは誹謗中傷に当たる書き込みがあった場合の該当する法律について紹介します。
「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した」場合に成立。
例:「○○は前科持ち」「不倫関係にある」など
刑罰:3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
「事実を示さずに公然と人を侮辱した」場合に成立。
例:「バカ」「ブス」など人格や容姿を貶める表現
※2022年の法改正により厳罰化:
刑罰:1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料
「虚偽の情報を流し、人の信用を傷つけたり業務を妨害した」場合に成立。
例:「A店の料理にゴキブリが入っていた」などの虚偽の情報
刑罰:3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
「生命・身体・自由・名誉・財産を害すると告げて脅す」行為に適用。
例:「火をつけるぞ」など
刑罰:2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
「これは誹謗中傷かもしれない」と感じるような書き込みを見つけた場合、まずは落ち着いて、どのような対応が必要かを整理することが大切です。
状況に応じて、以下のような専門機関への相談が検討されます。
投稿者を特定したり、損害賠償や刑事告訴など法的対応を検討したい場合は、弁護士への相談が適切です。
どの法律が適用されるのか、手続きの流れ、証拠の保全方法なども含めて具体的なアドバイスを受けられます。
ネット上に残る書き込みについて、削除申請の進め方や対策方針に迷った際には、風評リスクに詳しい専門会社に相談するのも選択肢のひとつです。
投稿されたサイトやプラットフォームによって対応方法は異なるため、実績に基づくアドバイスを受けられることがあります。
ただし、法的な交渉や強制的な削除は弁護士にしかできないため、必要に応じて適切な専門家と連携しながら進めることが大切です。