住所でポン!はネットの電話帳と謳っているサイトで、地域別に個人の住所、氏名、電話番号が掲載されています。
個人情報流出やデジタルタトゥーなどネット上でのプライバシーの侵害などが叫ばれる現代において、住んでいる場所に加えて名前、電話番号までが分かってしまう媒体に違法性はないのでしょうか?
個人情報についてはこちらの記事もご参照ください。
個人情報流出しないための対策と本来の個人情報の定義とは?
結論から言うと、残念ながら違法性はないとされています。
それというのも、住所でポン!に掲載されている情報はNTTから発行されている「ハローページ」を元に作成されているからです。
ハローページとは?
NTT(日本電信電話株式会社)が発行していた、企業名・個人名を五十音順に掲載した電話帳の愛称。日本電信電話公社が明治23年(1890)に発行した「電話加入者人名表」を前身とする。昭和58年(1983)より「ハローページ」の愛称を使用。令和3年(2021)、発行・配布を終了。
元々は携帯電話やスマートフォンのない時代に固定電話番号を調べるための地域密着型の電話帳でした。個人のみではなく企業やお店の電話番号なども調べられたため重宝されていたのでしょう。
またハローページの発行・配布が終了したことや、個人が固定電話を使わなくなってきている背景から住所でポン!に掲載されている電話番号なども古く、使われていない場合も多々あります。
違法ではないとはいえ、実際に利用している電話番号や住所、氏名が堂々とインターネット上に掲載されていることで不利益を被る可能性も否めません。特に高齢者などの場合はオレオレ詐欺など電話を利用した犯罪につながる可能性もあります。
その場合に掲載されている情報を削除することは可能なのでしょうか。
インターネット上に個人情報が掲載されていて削除したい場合、基本的な行動としては、まずはサイト運営者へ掲載削除の依頼をするのが第一でしょう。
しかしながら「住所でポン!」には削除依頼には一切応じないという旨が明記されています。そのため残念ながらサイト運営者へ削除の依頼を行ったとしても取り合ってもらえる可能性はないでしょう。
出典元:住所でポン!お問い合わせフォーム
削除依頼には対応しない、というサイト運営者の主義があるものの、過去には裁判で負けたことがあります。
裁判の結果、被告は原告の人格権を損害していると認められました。
その後、被告が上告をしていましたが受理されることはなかったのです。
裁判が始まってから約3年後の2018年に、被告に55,000円の損害賠償命令が確定しましたが、被告は損害賠償を支払う姿勢を見せていません。
出典元:インターネットモニタリング
この裁判では、まず掲載情報が個人情報であり、プライバシー保護の対象になる、という判決が下され、その上でハローページなどとの違いとして、地域密着型の、紙媒体の冊子とは全く異なり、インターネットという広域で公開されるということ、また原告側がインターネット上での公開を許可していない、ということを強く訴えました。
このことから、住所でポン!に掲載された情報の削除は非常に難しいと言えます。
サイト経営者が断固として情報削除に応じない姿勢であることがその要因です。 ただ裁判を起こし判決を下すことで削除へ持ち込むことは不可能ではないと言えます。