近年、就職活動や転職活動を行う人々は、求人票や企業ホームページだけでなく、口コミサイトやSNSを参考にして企業を判断するようになっています。特にネガティブな口コミや「炎上」と呼ばれる評判の拡散は、採用活動に大きな影響を与える要因です。どれほど優れた制度や研修を用意していても、インターネット上に悪評が残り続ければ、応募者は「ここで働くのは不安」と感じ、優秀な人材獲得の機会を逃してしまいます。
本記事では、採用ブランディングの観点から、口コミ炎上が企業に与える影響と、今すぐ取り組むべき具体的な対策を5つ紹介します。
求職者が企業を選ぶ際、口コミは欠かせない情報源です。株式会社エルテスが2025年6月に実施した調査(就職・転職経験のある21~60歳対象、120名)によると、約70%の求職者が応募候補の企業についてネガティブな情報を閲覧していることが分かっています。そのうち自ら検索して調べた人は32.6%、偶然見かけた人は37.2%であり、自発的に調べた層の64.2%がその情報を「信用した」と回答しました。また、42.9%が志望度を下げ、10.7%は「応募や入社をやめた」としています。
さらに、海外の調査でも同様の傾向が見られます。求人口コミサイト「Glassdoor」のレポート(2025年)によると、求職者の83%が応募を検討する企業について口コミやレビューを確認し、そのうち55%以上がネガティブな情報を見て応募を取りやめた経験があると回答しています。
企業の口コミ炎上は、特定の社員や外部の不満がきっかけで、一気に拡散する可能性があります。例えば、残業時間やハラスメント問題に関する投稿がインターネット上で広まった場合、求職者の間で「ブラック企業の可能性がある」といったイメージを持たれることも考えられます。
このような炎上は、一時的に応募者離れが起きるだけでなく、長期的な採用活動に影響を与えるリスクがあります。場合によっては、求人応募数が減少したり、採用単価が上昇したりすることもあり得ます。だからこそ、事前の対策や継続的な評判管理が重要です。
口コミ対策は、単にネガティブな声を削除することでは解決できません。根本的に社員が不満を抱く要因を減らす必要があります。例えば、「残業が多い」という口コミが目立つ場合は、業務フローの見直しや残業削減の取り組みを強化する。「昇進が不透明」という声があれば、人事評価制度を見直し、納得感のある仕組みを導入するなど、制度面のアップデートが不可欠です。
そのうえで、改善の取り組みを社外に向けて発信します。自社サイトやSNSで「働き方改革の実施例」「社員インタビュー」「データで見る残業時間の推移」などを公開し、透明性のある姿勢を示しましょう。
口コミサイトで最も信頼されるのは、現場で働く社員のリアルな声です。「良い口コミを書いてください」という依頼は逆効果になりがちです。社内イベントや表彰制度、働きやすい環境づくりを進め、社員が自発的にポジティブな体験を発信したくなる土壌を整えましょう。採用ページに社員インタビューや座談会を掲載するのも有効です。
ネガティブな口コミを見て不安を抱えたまま選考に進む応募者は少なくありません。面接や会社説明会の場で「口コミについて不安な点があれば遠慮なく質問してください」と明言し、「実際の残業時間」「評価制度」「キャリア支援」などの気になりやすい項目をデータで提示するなど、誠実なコミュニケーションを徹底しましょう。
悪評の露出を下げ、正確で最新の公式情報を上位表示させるために、検索結果最適化(SEO/コンテンツ強化)を実施します。併せて、ブランドモニタリングツールで継続監視し、危険な兆候を早期に検知・対処できる体制を整備します。
炎上は起きてからの火消しが難しいため、平時に初動フロー(エスカレーション先/発信ルール/FAQ/法務連携/再発防止策のテンプレート)を整えておきましょう。初期対応の速度と一貫性が被害拡大の防止に直結します。
口コミ炎上は企業の採用活動に直結する重大なリスクです。単なる火消しや削除依頼だけでは解決になりません。制度改善・ポジティブ発信・応募者への誠実なフォロー・検索結果最適化/監視・初動フローの平時整備を通じて、継続的に信頼を積み上げることが重要です。今こそ、自社の評判を見直し、戦略的に対策を進めていきましょう。
企業の採用活動では、口コミやSNS上の評判が応募者の意思決定に大きく影響します。どれほど魅力的な制度や環境を整えていても、ネガティブな情報が拡散されると優秀な人材の応募を逃すリスクがあります。
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これらのサービスにより、ネガティブな口コミによる採用への悪影響を抑え、信頼性の高い採用ブランディングを実現します。導入をご検討の方は、ぜひお問い合わせください。